ワンオク VS ベビメタ! アメリカで生き残るのはワンオク! その理由は?

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LOUDNESS、松田聖子、宇多田ヒカル……。
米国でのメジャーデビューを果たした
日本人アーティストはそう多くない。


その中でも、本当に「成功した」と言える例はまだないかもしれない。

しかし近年、活躍の場を海外に広げ、
注目を集める若手アーティストは
着実に増えている。
ONE OK ROCKもそんなバンドの1つだろう。



2005年に結成した4人組の彼らは、
日本ではティーンエージャーを中心に
絶大な人気を誇り、ライブチケットは
「瞬殺」状態で売り切れる。


活動の場は海外にも広がっており、
2015年には海外レーベルと契約。


同年9月には、先に発売されたアルバムをすべて英語に歌い直し、
『35xxxv Deluxe Edition』を発売した
ほか、海外でのライブも
精力的に行っている。


さらに、今年1月には日米ほぼ同時に
新アルバム『Ambitions』を発売し、
iTunesで上位入りしたことが
話題になった。



■同じ国のグループは比較されやすい

 しかし、このバンドの実力は
はたしてどれほどのものなのだろうか。


 米国の音楽ファンに向けて、
米国以外のバンドについて論評を
書く場合、どうしてもそのバンドと
同じ国出身のグループとの比較は
避けられない。


たとえばスウェーデンのバンドについて
書く場合、レビューにおいてABBAが
言及されないことは珍しいだろう。


たとえそのつながりが
どれほど薄くても、だ。


 ONE OK ROCKにしても同じで、
彼らを取り上げた米国の音楽論評の中に
は同じく10代を中心にセンセーションを
巻き起こしているBABYMETALへの
言及が後を絶たない。



 表面上は、この2つのバンドを比べるのは滑稽に思える。

パフォーマンスはもちろん、
バックバンド
(非常に技術のある「神バンド」)が
かき鳴らす高速でアバンギャルドな
メタル音楽に10代のアイドル歌唱を
のせたBABYMETALの音は、


ONE OK ROCKのオルタナティブで
ありながら枠にはまらない、
堂々としたロックと比べたら
違う星から来たようなものだからだ。


 だが、米国のファンたちは、ネットで
「どちらがより人気があるか」
を質問する投稿をしたり、フランスでの
ツアー中にこの2つのバンドが
一緒に撮ったインスタグラムの
写真に対する興奮を分かち合ったり
して両者を比較している。



2つのバンドが比べられるワケ


 何がこの2つのバンドをそれほど
密接に関連づけているのだろうか。


 彼らは両者ともJ-Rockという
広い傘の下に収まっている。
このジャンル名は事実上、アンプが
必要な楽器を少なくとも1つは
使用している日本のすべてのバンドに
使われている。


東京のパンクバンド?  J-Rockだ。
名古屋からのスラッシュメタル? 
それもJ-Rock。少年ナイフ? 
フォークロッカーのはっぴいえんど? 
名前が残念なMr.Children? 
全部J-Rockだ。


 「J-Rock」というラベルは何にでも
つけられているように見え、
そんな大ざっぱなジャンルは
役に立たないと言ってしまいたくなる。


しかし、J-Rockファンたちは
その広い守備範囲を利用し、
多種多様な音楽スタイルと
アーティストを楽しんでいるのである。


■アミューズにとってはラッキーだった


米国にかぎらず、海外のJ-Rockファンは
それぞれ自分が好きなバンドが
好きなのであり、ほかと比べて
優越感に浸ろうとは考えていない。


実際、ネット上にあるJ-Rockファンの
掲示板はどこよりも明るく
ポジティブな掲示板の1つだ。


 ONE OK ROCKとBABYMETAL両方が
所属するアミューズグループは、
米国でONE OK ROCKとBABYMETALを
売り出し始めたとき、米国にこれほど
オープンマインドで熱烈な
オーディエンスがいるのを知って
喜んだに違いない。


この2つのグループは同じレーベルに
所属しているため、必然的にもう1つの
バンドのファンにも宣伝が
届くことになる。


そして、それぞれのファンは自分が
「ファンではないほうのバンド」の
宣伝をされても、それすらSNSで
拡散する。


これは、米国のファンがいかに
オープンマインドかを示している。


「ホーム」である日本では、
ONE OK ROCKとBABYMETALは
スタジアムを満員にするほど多くの
オーディエンスを集められる。


一方、海外では、両バンドとも
2014年に北米での初めてのツアーを実施。
最近、再び行われた海外ツアーでも、
競技場や大ホールといった大規模な
会場でメインアクトを務めている。



BABYMETALの圧倒的な強みとは


日本では、BABYMETALの海外での
快進撃は知られているところだ。
しかし、どちらが海外、少なくとも、
北米で成功する可能性があるか
と尋ねられたら?  

野外競技場でメインを張っていることは
すでにかなりの成功を
示すものではあるが、
さらに高みを目指して、
この両バンドが次に北米に来たときに、
スタジアムを大観衆で埋めることが
できるかどうかを分析してみよう。


BABYMETALには確かに「個性」
というマーケティング上の強みがある。

音楽にうるさい私の友人たちが初めて
BABYMETALを見たとSNSで
報告するときはいつも、彼らの投稿は
ビックリマークであふれる。

BABYMETALは楽しい。

音楽民族学者で、日本の現代音楽に
詳しいジェニファー・ミリオト・
マツエは著書
「Focus: Music in Contemporary Japan
(焦点:日本の現代音楽)」で

BABYMETALを

「混じり合っていて曖昧でクレイジーな
J-Popの最高の形」

と表現している。



■ONE OK ROCKの音楽とはいったい何か


だが、メタルのコンサートで
生き残るにはスタミナが必要だ。

BABYMETALをよく知り、愛している
大量のJ-Rockファンだけでなく、
世界にファンを増やすにはこれから
真のメタルファンを獲得して
いかなければいけない。


キング・ダイアモンドを生で見て、
ツアーTシャツも持っている、
というような、ガチなメタルファンの
ために言っておくと、
米国のメタルオタクのBABYMETAL
に対する反応は、平均的な
J-Rockファンと比べると
いささか冷ややかである。


一方、ONE OK ROCKはどうだろうか。

その前に、彼らがどんな音楽なのか
改めて考えてみたい。
ワシントン州シアトルの
ストレンジャー紙は、
彼らを
「エモ(エモーショナル・ハードコア)、
ロック、そしてメタル」と評している。

実際、ONE OK ROCKは次々に
ありえないようなマッシュアップを
成功させている。


2013年に発売されたアルバム
『人生×僕=』に収録された
「Ending Story? ?」では、
メインのリフでGreen DayやSum 41の
パワーパンクを思い起こさせ、
クラシックの弦楽器とラップを持ち込み、
メタルへと変わり、その後コーラスの
かかったボーカルで呼びかけ、
応える伝統的なパンクのリフへと
自らを立て直してから、
急停止して最後にメタルへとまた変わる。


こう書くと、詰め込みすぎで
訳がわからなそうだが、
仕上がりはその逆で、それぞれの
パートは説得力を持って、
次のパートへと変わっていく。


 私は通常、「何もかもを詰め込んだ」
と揶揄される楽曲のファンではない。

だが、ONE OK ROCKのこの曲は、
「混ぜこぜ」が相乗効果を
生んでいる。

2015年に発売されたアルバム
『35xxxv』でも、いくつかの曲は
過剰なプロデュースに
苦しんでいるものの、
その音楽への情熱が浮かび上がってくる。



米国で5年後、生き残っているのは?


NHKの音楽番組で初めてONE OK ROCKを
聴いたとき、最初に胸を打ったのは
彼らの音楽に対する情熱だった。

テレビスタジオのステージの
均質化するような制限の中でも、
彼らは自分たちのやっていることに、
真に夢中になっているように見えた。

リードシンガーであるTAKAが
何気なく行っているように見える、
日本語から英語、英語から日本語へと
スイッチする能力は特筆すべきものだ。


彼らの楽曲を掘り下げてみて
わかったのは、このバンドは
聴いてくれる人々とつながろうと
強く思っているということである。


たとえスタジオプロデューサーが
彼らの作品にどれほど多くの
レイヤーを重ねようとも、だ。


■5年後、米国で残っているバンドは? 


成功とは多くの意味を持ちうる。

カネ、名声、受け継がれること、
もしかしたらその3つ全部かもしれない。

その中でも、アーティストにとっては、
受け継がれることこそが最も
重要なことだろう。

ONE OK ROCKとBABYMETALの両者とも、
もはや失敗することはないだろうが、
5年後に米国で残っているのは
どちらのバンドかと聞かれたら、
それはONE OK ROCKではないだろうか。


BABYMETALは最初に聴いたとき、
強い印象が残る。彼女たちは
ものすごく楽しいし、
彼女たちみたいになろう、と
「類似品」が出てくることも
まずないだろう。


しかし結局のところ、このバンドが
行っているのは優秀な
プロダクションチームに声を与えること
だというのはかなり明白だ。


 一方、ONE OK ROCKはしばしば、
プロデュースやミックスが過剰だと
感じる時がある(時には彼らを
覆い隠そうとしているのかと
思えるほどだ)が、

彼ら自身は自らの意思で自分の音楽と
パフォーマンスにすべてを
注いでいるように見える。


BABYMETALのバックバンドがマスクの
陰に隠れて演奏している中、
ONE OK ROCKは、会場までそのままの
格好で来たんじゃないかと
思うようないでたちでステージに上がる。

それは純粋な、

「俺たちはここにいるぞ」

という存在感があるということだ。

ローリングストーンズのようなバンドに
なれるかどうかはわからない。
しかし、本当にクールなバンド
という聖なる殿堂にその名を
刻むことになるだろう。

私が見た限りでは、彼らはそれで
まったくかまわないと言うだろうと思う。

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