首位ヴィッセル神戸の強さはホンモノか、それとも相手が下位だからか

323244.bmp232355.bmp34556556.bmp4345566.bmp長丁場のリーグ戦では、
どんなチームにも大なり、小なり、
好不調の波はやってくる。

ある一時期に調子がいいからと言って、
それが続く保証はなく、最終結果を
約束してくれるわけでもない。



とはいえ、やはり
スタートダッシュは大切だ。

少なからず手探りの部分がある
シーズン序盤、早々に結果が
出ることで余裕が生まれ、
さまざまな物事が好循環で回り出す。


スタートダッシュは優勝、あるいは
上位進出のための絶対条件では
ないにしても、重要な要素である
と言っても差し支えないだろう。


今季J1において、どこよりも鮮やかな
ロケットスタートを決めたのは、
ヴィッセル神戸である。


神戸は開幕戦で清水エスパルスに
1-0で際どく競り勝つと、
そこから一気に4連勝。

第5節では浦和レッズに1-3で
敗れたものの、続く第6節では
気持ちを切り替え、
大宮アルディージャを2-0で退けた。


第6節終了現在、神戸は5勝1敗の
勝ち点15で堂々の首位に立っている。


振り返れば昨季後半、この予兆は
すでに見え始めていた。

2ステージ制だった昨季、
神戸はセカンドステージで2位に躍進。

年間順位では7位にとどまったが、
いわば今季注目の”上がり馬”
と言うべき存在だったのだ。


神戸は今季、かつてヴェルディ川崎
(現・東京ヴェルディ)、
柏レイソルを優勝に導いた名将、
ネルシーニョ監督が率いて
3年目を迎えた。

堅守をベースに、必要以上に
手数をかけない効率のいい
攻撃を繰り出すサッカーが、
十分に浸透してきている。


ここまでの5勝を見ても、うち4つが
シャットアウト勝ち。
1試合1、2点しか取れなくとも、
その貴重な得点を確実に守り切って
勝利に結びつけている。


「昨年は勝ったとしても、
失点することが多く、
無失点の試合が少なかった。
ペドロ・ジュニオールやレアンドロの
力で勝った試合が多かった」


ンターバックを務めるDF岩波拓也が
そう語るように、昨季の神戸が
強力ブラジル人FWに
支えられていたことは否めない。


ところが、組織的な守備が
整備された今季は一転、

「無失点が続いている自信は大きい。
先制したら守り切る自信がある」と岩波。

「監督がミーティングで話すことを、
選手が自信を持って
100%取り組めている」という。


選手たちの変化には、百戦錬磨の
指揮官も手応えを感じている。


「試合開始から20~25分はうちのペース。
前からのプレスで相手の
動揺を誘うことができた。

だが、相手が落ち着くと、徐々に
前線から追い込めなくなった。

そこからは、(守備ブロックを)
コンパクトにして、プレスを
かけながらスペースを埋める
という戦い方ができた」


大宮戦に勝利したあと、
ネルシーニョ監督は選手たちが見せた
臨機応変な戦術変更について、
このように語り、納得の様子を
うかがわせた。


もちろん、ここまですべてが
順調に進んできたわけではない。

それどころか、開幕戦にして
昨季J1得点王のエースストライカー、
FWレアンドロが重傷(左ヒザ前十字靭帯
損傷で全治約6カ月)を負
うアクシンデントに見舞われた。

昨季のチーム状況であれば、
致命的なダメージである。


しかし、エース不在の間も
粘り強く勝ち星を重ねているうち、
若手が台頭。

自前の育成組織(神戸U-18)出身の
19歳、MF中坂勇哉や、同じく
神戸U-18出身
(関西学院大を経て昨季加入)の23歳、
FW小林成豪が先発メンバーの
座をつかむまでになった。


なかでも、中坂は浦和戦、大宮戦と
2試合連続ゴールと大活躍。

本人は「まだまだ」と謙遜するが、
勝ち続けるなかで、確実に
チーム力は底上げされている。

こうした好循環こそが、
勢いに乗るチームの証(あかし)だ。


結果的に、今季移籍加入した
FW田中順也(柏レイソル→)、
FW大槻周平(湘南ベルマーレ→)、
MF高橋秀人(FC東京→)らが
控えに回ることにはなった。

一見すると、移籍による補強策が
あまり意味をなさなかった
ようにも見える。


だが、ベテランのDF北本久仁衛なども
含め、彼らのような実績や経験のある
選手がベンチにいることで、
試合展開に応じて戦い方の幅が
広がるのは間違いない。


また、長いシーズンのなかでは、
負傷者や累積警告による出場停止の
穴埋めも、当然考えて
おかなければならない。

そんなとき、彼らは計算できる
戦力として貴重な働きを
してくれるはずである。


ただし、快調に首位を走る神戸にも、
ケチのつけどころはある。

というのも、ここまでに対戦した相手は
下位クラブがほとんどなのだ。

5勝した相手のなかで、最上位は
9位の清水(第6節終了時順位)。

唯一上位同士の対戦となった浦和戦には
敗れており、絶好のスタートダッシュも、
単に対戦順に恵まれただけ
と言えなくもない。


しかし、敗れた浦和戦にしても
ネルシーニョ監督は選手の
ファイティングスピリットを称え、
その価値の高さを認めている。

岩波もまた、

「負けはしたが、完璧に崩された
という感じはない」

と振り返り、今季唯一の敗戦も、
むしろ選手たちに自信と手応えを
与えるものになっていることを裏づける。


岩波が続ける。

「もっともっと自信をつけて、
上(の順位のクラブ)と対戦したい」


一戦一戦の戦いに手応えを
感じられるからこそ、岩波は

「首位はあまり意識していない」

とそっけない。

ネルシーニョ監督からは優勝するのに
必要な勝ち点として
「6試合で12ポイント」をノルマに
課されていたといい、岩波は順位以上に、
監督の要求をクリアできたことに
満足感を示す。


チーム全員の気持ちを代弁するように、
キャプテンのFW渡邉千真が語る。


「まだ試合はたくさん残っているので、
1試合1試合やっていくしかない。
このいい流れを続けていきたい」


まずは昨季後半の勢いそのままに、
抜群のスタートで優勝争いの
先頭に立った神戸。


1勝ごとに蓄えてきた自信を胸に、
これから真価が問われる
戦いに挑んでいく。

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