16年は5位と躍進も 大宮アルディージャはなぜ勝てなくなったのか 昨季は5位と躍進した大宮アルディージャが、今季は開幕から6連敗している 家長昭博の移籍と攻撃的スタイルへの転換の失敗が絡み合った結果だと番記者 起点作りをチーム全体で補おうとし、バランスに乱れが生じたと伝えた

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J1に復帰した昨季は年間順位5位と
躍進を果たした大宮アルディージャが
今季は開幕から6連敗。

勝ち点を奪えないばかりか、
6試合で1得点と極度の得点力不足と
チーム状況は深刻に映る。

清水エスパルスの10番・大前元紀ら
有力選手も補強し、さらなる飛躍が
期待されたシーズンの序盤に
なぜここまで苦しんでいるのか。

そのバックグラウンドに
大宮の番記者・片村光博氏が迫った。


▼開幕から未勝利、二つの原因


大宮アルディージャがリーグ開幕から
6連敗を喫し、最下位に沈んでいる。

昨季はクラブ史上最高順位の
年間5位を達成し、今季は家長昭博
(川崎フロンターレ)や泉澤仁
(ガンバ大阪)といった主力が
抜けたものの、下馬評も決して
低くはなかった。


大前元紀や長谷川アーリアジャスール、
J2からも瀬川祐輔ら実力者を
獲得しているが、ここまでの得失点は
1得点10失点。厳しい状況が続いている。


これだけの不調が単一の理由から
引き起こされるわけもなく、
もちろん複合的な原因がある。


その中でも取材の現場において
最も指摘されるのは、"家長の穴"と
"攻撃的スタイルへの転換の失敗"。


これだけではシンプルに過ぎる指摘だが、
どちらかが間違っているわけではなく、それらが絡み合った結果が
現状につながっている。


まず前者について、川崎に移籍した
家長はかなり特殊な能力を持つ選手だ。

Jリーグ全体を見渡しても類を見ない
抜群のキープ力に加え、ピッチ上の
どこにスペースがあるかを
瞬時に把握して利用する


インテリジェンスとアジリティー。
近年は得点意欲も飛躍的に向上していた。

そもそも絶対的エースであった
彼の慰留が果たせていれば大崩れする
こともなかったかもしれないが、
移籍してしまった以上は代案が必要で、
今季の編成からはその意図も見て取れた。


ポジションで同じ位置に入るのは
大前だが、チームとして彼に
家長の役割を求めたわけではない。


ポジションもプレースタイルも
違うものの、家長の穴を補填する
存在として期待された選手は、
渋谷洋樹監督から直々の要望もあって
柏レイソルから獲得した茨田陽生だ。


昨季終盤にブレイクした大山啓輔と
組むダブルボランチはポゼッションに
秀でており、

「攻撃で圧倒しようという
狙いを持って」(渋谷監督)
今季の開幕メンバーが構成された。


そしてここが"攻撃的スタイルへの
転換の失敗"を指摘される所以だろう。
確かにチームの重心は攻撃により傾いた。

しかしそもそも昨季、残留が
決定したときからチームスタイルは
攻守ともに攻撃的なものになっている。

横谷繁と大山のダブルボランチが
その象徴で、鹿島アントラーズ戦に
完勝を収め、川崎戦でも相手に
退場者が出たとはいえ打ち合いを制した。


さらに言えば堅守のイメージを
持たれることの多い昨季の大宮だが、
終盤は失点が増加し、その分を
得点でカバーする戦いになっていた。

決して急に攻撃路線に舵を
切ったわけではない。


ここから見えてくることは、
家長に頼っていた部分のある
"起点作り"をチーム全体、主に中盤の
ポゼッション能力で補おうとした結果、
チームバランスに乱れが生じてしまった。


本来のボランチではなく
右サイドハーフで12日の
ルヴァンカップ第2節・柏戦に
出場した大山は、

「いまは起点をどこに作るか。
それが、チームとして
定まっていないというか、迷いがある」
と現状を捉え、高い位置での
起点作りをテーマに掲げていた。

新戦力が多いこともあり、中盤での
ゲームメークの不調はなかなか
解決の糸口を見付けられずにいる。



▼チーム状況を好転させる打開策は?


もちろん、3年間にわたってチームの
中心を担ってきた家長が移籍した以上、
もっと割り切って守備から入り、
大前や江坂任の得点能力に
懸けるような戦いを志向しても
良かったのかもしれない。



実際、クラブとして定めた今季の目標は
「勝ち点50以上、9位以上」。

高望みはせずに安定感を身に着ける
という方向性は間違っていない。

だが、現場レベルにおいての
モチベーションが"昨季以上"
という位置に置かれるのは自然なこと。

そもそも、そうしたメンタリティーが
なければ実績ある選手たちの獲得も
叶わなかっただろう。



好成績を収めた次のシーズンが難しさは、
さまざまなチームが
経験してきたことでもある。

フロントスタッフ、チームスタッフ、
そして選手のどこかに決定的な
落ち度があるわけではないが、
少しずつ歯車が狂い、今季の大宮は
大きな負のスパイラルに
飲み込まれてしまった。


チーム状態を好転させる特効薬はない。
しかし先述のルヴァンカップ・柏戦で
退場者を出しながらも今季初の
無失点を達成し、公式戦連敗を
止めたことは一つのきっかけになり得る。


大山や岩上祐三、渡部大輔らは
リーグ戦の不調に引きずられずに
好パフォーマンスを発揮したため、
リーグ戦にうまくつなげていくことが
現在の最大のテーマだ。


昨季も1stステージ第4節・
サンフレッチェ広島戦で1-5の
大敗を喫したあと、ルヴァンカップ
(当時はナビスコカップ)での
勝利から持ち直した経緯がある。


現状を打開するためには、
柏戦のように泥臭くとも結果のために
助け合い、ワンプレーに
こだわっていくしかない。


一つの得点、一つの勝ち点を
大事にしていくことが、狂った歯車を
少しずつ正常な状態に
戻していくための唯一の術だろう。

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